SS『はじめての夏』

今回はいつも遊びに行かせていただいている素敵サイトこはぐら。のこはく。さんが企画をされていまして。
見た瞬間に打ちのめされました。そして恐れ多くも書いてみたい!と。
書き手にそんな風に思わせることができる、こはく。さん。凄い方だと思います。

相変わらず前置きが長く、まだまだ力量不足で申し訳ないですが、よければ続きよりお読みください。

因みに元ネタはこちらです☆
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夏祭り当日。

「え~、フェイトちゃん、今年は浴衣着ないの?」
「うん、母さんが仕事でいないから・・・。着付けとか出来る人がいないんだ」

それは海鳴にきて初めての夏。なのはに『夏祭りはやっぱり浴衣だよね』
そう教えてもらってから毎年、『夏祭りは浴衣で』というのが暗黙の了解になっていた。
それから何度か夏を迎え、今年はなのはと付き合って初めての夏。
さすがにいつもの五人ではなく、それこそ初めて二人っきりの夏祭り。
だからこそ、本当は浴衣で行きたかった。

「そっか・・・」

明らかに残念そうな顔をしているなのは。
そんな顔させたくないんだけどな。

「なのははどうするの?」

なのはの浴衣姿を見たい。でも今年は私が着ないし、もしかしたらなのはも・・・

「どうしようかな~。うちはお母さんが着付けてくれるけど・・・。
あっそうだ、ちょっと待ってて」

バタバタと教室を後にした数分後、

「フェイトちゃん、浴衣、お母さんが着付けてくれるって!」
「えっ?いいの?桃子さんの負担になるんじゃ・・・」
「大丈夫!髪は私がやったげるね」

にっこりと微笑むなのは。
なのはに髪を結わいてもらえるなんて、嬉しくないはずがない。

「じゃあ、なのはの髪は私がやってあげるね」
「うん」

「決まりだね」と二人で微笑み合う。

「はいはい、そこまでよ。全く、放っておけばいつまでも続くんだから」

パンパンと手を叩くアリサに現実に引き戻される。

「良かったな~、なのはちゃん。『お代官様ごっこ』できるで」

ニヤニヤしているはやてに

「ちょっ、変なこと言わないでよ、はやてちゃん!」

真っ赤になって否定しているなのはを見たところ、『おだいかんさまごっこ』は分からないけど、あまり触れない方が身のためのなんだろうな。

「じゃぁフェイトちゃん、家で待ってるね」

そうしてなのはと別れたのが数時間前。
今、浴衣一式を持ってなのはの家に向かっている。
浴衣を見ていると初めての夏を思い出す。
海鳴に越してきて初めて浴衣を着た日。昔から日本通の母さんでもその独特な着付け方に苦戦していた。
それでも仕上がりはとても綺麗なものだったけど。
クスリと笑みがこぼれた。幸せな思い出にもう少し浸っていたいけれど、約束の時間まであと少しだ。
小走りぎみに高町家までの道を急いだ。

家に着くと桃子さんがなのはの着付けをしているところだった。
「あっ、フェイトちゃんいらっしゃい!」
「お邪魔します・・・。桃子さん、今日はよろしくお願いします」
「なのはの着付けがもうすぐ終わるから少し待っていてね」

手際よく浴衣を着せていく桃子さんに感心しながらも、なのはについ見惚れてしまう。
もちろん浴衣姿を初めて見るわけではない。
なのに今まで『親友』として見てきた姿と『恋人』として見る違いに得も言われぬ感情が湧いてくる。

「どうかな?フェイトちゃん??」
「うん、凄く似合ってるよ」
「にゃはは、ありがとう」

少し照れながらはにかむなのはは、とても可愛らしい。

「さぁ、次はフェイトちゃんの番よ。こっちにいらっしゃい」

桃子さんに手招きされる。

「へぇ~フェイトちゃんの浴衣、黒なんだね~」

そういいながら、まじまじと私を見つめるなのは。
時折、むっとした顔をしながら、自分と見比べたりしている。
恐らくは成長度について不満に思っているのだろう。

「そんなに見つめられると恥ずかしいよ・・・」

桃子さんにされるがままになっている状態なので、隠すことも出来ない。

「え~、幼馴染みなんだしいいじゃない」

桃子さんの前では幼馴染み継続中。
その秘密を共有している事が余計になのはとの関係を強調しているようで、
こそばゆい。

「はいっ、出来たわよ。うん、二人とも良く似合っていて可愛いわ」
「ありがとう、お母さん」
「ありがとうございます」

「いえいえ」と言いながら桃子さんはなのはの部屋を後にした。

「夏祭りまでもうあんまり時間もないし、髪やっちゃおっか」
「先になのはの髪やったげるね」
「えぇ~、フェイトちゃんを先にしてあげたい」
「いいえ、私が先になのはの可愛い姿を見たいんです」

そう言うと真っ赤になったなのはが小さく「お願いします」と呟いた。

「なのはの髪綺麗だね~」

一櫛一櫛丁寧に梳かしていく。
髪を触られて気持ちいいのか、少しふわふわしているようだ。
髪を纏め上げ、最後にパチンと髪留めをした。
普段からサイドポニーにしているので、うなじを見るのは初めてではない。
けれど今は頭一つ分ほど下にある為、うなじから少し衣紋抜きされた首元までが顕わになり、一瞬で目を奪われてしまった。

「フェイトちゃん、どうかなぁ?」

なのはの声にハッと我に返り、慌てて

「うんっ、可愛く出来たと思うよっ!」

と答えた。少し声が上擦ってしまったけど、なのはに気づかれなかったかな?

「にゃはは。じゃあ次はフェイトちゃんの番だよ~♪」

私の返答に満足したのか、ニコニコしながら椅子へと促す。

「うん」

そう答えるのが精一杯だった。


カラコロカラコロ。
二人、下駄の音。
日中より少し涼しくはなったけれど、夜といえども気温は高い。
でも、それとは違う熱にも私は支配されているようだ。
『繋いだ手からなのはに伝わったらどうしよう』そればかりが気になる。

「ねぇっ、ねぇってば。フェイトちゃん、聞いてる?」
「あっ、ごめん」

手に意識を集中しすぎていたらしい。

「もうっ。何かやらしいことでも考えてたの?」

いたずらに笑うなのはに

「そっそんなことないよ!」

いくら恋人とはいえ、うわの空な上に、不埒な事を考えていたと知られたら・・・と思い、もう一方の手をブンブンと振る。
いつもそんなことばかりを考えている訳じゃないんだよ、なのは。

「・・・あとね、さっき髪を結わいてもらった時、フェイトちゃんえっちなこと考えてたでしょ」

『そんなことないよ』誤魔化そうと思ったものの声が出ず、さらにブンブンと大きく手を振った。
それを嘘だと見抜いているのか見抜いていないのか。

「うっそだ~。フェイトちゃん、絶対何か考えてた」

そこまで言い切れるなのはが逆に不思議になり、「どうして?」と聞いてみた。
すると

「そんなの簡単だよ。私がフェイトちゃんを見て、ちょっとえっちな気持ちになったんだもん」
「えっ」

思わぬ答えに、みるみるうちに顔も体も全てが赤く、さらに熱を帯びていく。

「だから、フェイトちゃんも同じ気持ちになってるに違いないって。
自意識過剰かな?」

いつもの照れ隠しの笑いと冗談っぽい話し方。でも、その瞳には不安の色も見てとれた。
私はなのはの手をぎゅっと握りなおすと、

「自意識過剰なんかじゃないよ。ごめんね、本当はさっきからなのはにバレないか。この熱が伝わってしまったらどうしようって。そればっかり考えてた」
「素直に伝えてくれればいいのに。私はもうフェイトちゃんのものなんだよ?」

それから「あと、フェイトちゃんは私のもの」と大好きな笑顔で付け加えられた。

カラコロ、カラコロ。
二人、下駄の音。
二人きりで初めての夏祭り。
なのはと想いを確かめ合って。
これから先何度なのはと夏祭りに来ても、この日を忘れることは無いだろう。

「ねぇ、なのは」
「?どうしたのフェイトちゃん?」

花火に照らされるなのは。
ぐいっと繋いだ手を引き寄せて

「素敵な今日の思い出に・・・」

その頬に口づけた。



fin

テーマ : 二次創作小説(版権もの
ジャンル : アニメ・コミック

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プロフィール

秋水

Author:秋水
秋水と書いて「あきみ」と読みます

リリなのシリーズは「無印」からリアルタイムで追いかけています
なのフェイなの
大好きです(*^ ^*)

しかし書き始めると、難しいものですね(^-^;
日々、精進です!
よろしければお付き合いください♪

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