SS『素直なキモチ』

第5作です。
難産でした。
かれこれ1ヶ月は書いては消し、書いては消しを繰り返しました(^-^;

パラレルで、学生さんななのはさんとフェイトさんです。
高校生なイメージですね。

なのはさんの性格が少し歪んでる気がしなくもないですが…。
パラレルなので、大目にみてください(*ゝω・*)

ちょっとでも面白かったよなんて方がいらっしゃれば、
パチパチやコメントしてやってください(>_<)

よろしければ、続きからどうぞ!
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気持ちのいい風が吹き抜ける屋上
その一角、ちょうど入り口の真上に当たるそこは校内で一番空に近い。
私の一番のお気に入りの場所。

だけど、最近面白くない。

「ずっと好きでした!」
「ごめんね、今は誰かと付き合うとか考えられないんだ」

泣き声とバタバタと走り去る足音。

これが毎日のように繰り返される。
私の憩いの場所で。
私の休息を奪う、フェイト・テスタロッサ・ハラオウン(先輩)が疎ましかった。

事の発端は3ヶ月前。ハラオウン先輩が転校してきたことから始まる。
容姿端麗、頭脳明晰おまけに運動神経抜群な上、それをちっとも鼻に掛けない性格。
学園中にその存在が知れ渡るまで三日と掛からなかった。

それからというもの。
私の憩いの場所(正確にはその下だけど)は我先にと告白大会の様相を呈しているのである。

「今日もまたか…」
「?」

声に出したつもりは無かった。
でも今こうして目が合ったと言うことは声に出してしまっていたのだろう。
しまった!と思ったが目を逸らせずにいると
微笑んで一言

「覗きが趣味なのかな?」
「なっなに言ってるんですか!?そっちがいっつもいっつも…」

慌てて捲し立てると、綺麗な紅を細めて

「名前は?」

と聞かれた。

「高町なのはです」
「じゃあ、なのは。そっちに行ってもいいかな?」
「何勝手に呼び捨てしてるんですか!」
「ダメかな?」
「いや、別にそういう訳じゃ…」

少し強引。あとこういう事を無意識にやってのけるから勘違いさせるんだ、この人…。
天然タラシってやつかな。私は絶対になびかない。

これが私とハラオウン先輩の出逢い。
この時はこの先の未来がどうなっているかなんて全然想像出来なかった。



「フェイトさーん」
「ハラオウンさん見なかった?」

慌ただしい校内。
屋上の高台にうつ伏せになりながらその様子を見ていた。

「こんな所に居ていいんですか?ハラオウン先輩?」

いつの間にか私の憩いの場所には金色の髪の美人が居座っていた。

「うーん、あの子たちには悪いけど、気持ちには答えられないから」
「ハラオウン先輩ぐらいの人なら、選び放題なのに全然そんな気無いんですか?」
「選び放題かどうかは分からないけど…。付き合うのは本当に好きな子って決めてるんだ」
「ふーん、好きな子ねぇ…」

私は口に咥えていた棒付きキャンディをカラリと鳴らした。

「それよりなのは、名前。」
「名前がどうかしました?」
「フェイト、でしょ」

あーと思い出したように空を仰いで

「フェイト先輩」
「うーん、私的には50点だけど、今はそれで許してあげるよ」

そういって咥えていたキャンディを奪うと口に放り込み、

「さて、帰ろうかな。なのはも早く帰った方がいいよ」

と手を降りながら去って行った。
時計を見ると完全下校の5分前。
慌ててカバンを掴むと階段を駆け降りた。



屋上のこの場所でだけは当然のように隣にいる先輩。
最初は疎ましい存在だったけど、フェイト先輩を少しずつ知る事で前ほど嫌悪感を抱くことは無くなった。
ただ、時々その綺麗な瞳に見つめられたり、髪を撫でられたり。
何とも思っていない私でさえ、ドキリと鼓動が高鳴って、錯覚しそうになる。
『フェイト先輩が好き』なんだと。

フェイト先輩は本当にモテる。
その先輩が心を許してくれていることに多少の優越感はあった。
あの時までは…。



その日も同じように屋上で過ごしていた。
ただ、もうすぐテストということもあって、先輩が分からない所を教えてくれていた。

「だからここがこうなるんだよ」
「なるほど…フェイト先輩教えるの上手いですね」
「そんな事ないよ。ここは去年やったところだし。うん、切りもいいし今日はここまで!」
「ありがとうございました」
「どういたしまして。さて、もういい時間だね。私はそろそろ帰るけど、なのはは?」
「あっ、私はもう少し此処にいます」
「そっか…。じゃあ、私は先に帰るね」
「はい、お気を付けて」
「なのはもね」

帰りの挨拶を交わすとフェイト先輩は帰っていった。

「うーん」

思いきり伸びをして寝転がる。空を見上げたのは久し振りな気がした。
朱に染まる空を眺めながら手を拡げ、大の字になると、かさりと手に何かが当たった。

「これ、フェイト先輩のノートだ。忘れてっちゃったんだ。明日の朝届ければ大丈夫かな」



次の日、ノートがいつ必要になるか分からないので、朝一番に先輩の校舎まで届けに行った。
ほとんど来ることのない上級生の校舎は新鮮だ。
階段の踊り場で見知った横顔を見つけた。

『あっフェイト先輩!』

声を掛けようと思った時に会話が聞こえてきた。

「だから、はやてってば。なのはとはそういうんじゃないんだよ」
「いややわ~、フェイトちゃん。私というものがありながら」
「何言ってるの、はやてのバカ!」

いつもみたいな澄ましてるフェイト先輩じゃなくて、凄く楽しそうな声。それに私が見たこと無いような甘い笑顔。
それを見た瞬間、胸が張り裂けそうに痛んで、そのまま声を掛けられずに自分の教室まで走って帰ってきてしまった。

それからどう過ごしたのかあまり覚えていない。
このすっきりしない気持ちがどこからくるものなのかも分からない。
ただ、フェイト先輩の笑顔を思い出すと胸が痛くて、今は普通に顔を合わせる自信がない。良策とは思え無かったが少し距離を取ることにした。

先輩のノートは、先輩が帰る前に靴箱の中に入れておいた。
そして
『フェイト先輩、昨日はありがとうございました。
直接お渡しせずにすみません。
しばらく忙しくなるので屋上に行けそうにありません』
と手紙を残した。



会おうと思わなくても、いつもの場所に行けば会えた。
でも屋上に行くことを避けるようになってからは、学年が違えばこうも顔を合わさないものなのか。
そろそろ1週間が経とうとしている。
が、その間、見事なぐらいフェイト先輩の顔を見ることが無かった。
相変わらず、フェイト先輩の人気は天を知らないので、噂ぐらいは耳に入っていた。



そんなある日、

「君が高町なのはちゃんやね」

後ろから声を掛けられた。

「あなたは…」
「八神はやて。フェイトちゃんの友達や」

人見知りなんて言葉はほど遠い屈託のない笑顔。
フェイト先輩の彼女。

「ちょっと時間ええかな?」
「はい…」

「最近、フェイトちゃんが元気無くてな。仲ようなってたみたいやから、何か知らんかなと思って」
「いえ…」

もし自分が原因なのならば、心当たりはある。
ただ、一後輩と数日会わなかっただけでそうも落ち込むとは思えない。

「最近、会ってないんちゃう?」
「はぁ、まぁ。でもどうしてですか?」
「いや、何かにつけ話題がなのはちゃんやったのに、ここ数日名前も出えへんから。
まあ、とにかく元気無いんは良くないからね。友達としては心配なんよ」

『友達』という言葉に体が反応した。

「彼女だからじゃないんですか?」

下を向いたまま問い掛ける。

「はい?」

とぼけたような八神先輩の声。
少し苛立ちを感じてしまって、

「だから、フェイト先輩の彼女なんですよね?!どうして友達なんて…」

思わず語気を強めてしまった。

目が合った八神先輩は少しキョトンとしたあと、お腹を抱えて笑い出した。

「ないないない!うちがフェイトちゃんの彼女やなんて。
ほんまにただの友達や。」
「でも、聞いてしまったんです!『私というものがありながら』って。
フェイト先輩もすごく素敵な笑顔してて…」

八神先輩は涙目になりながら、

「冗談、冗談や。フェイトちゃん、からかうのほんまに面白くて。
笑顔かって、なのはちゃんの話してるときはいつもあんな感じや」
「えっ?」

今度は逆に私がキョトンとしてしまった。

「その分やと気付いてなかったか。
いやぁ、まさか、あのなのはちゃんに嫉妬されるとは」
「嫉妬だなんて!」
「良いって。そろそろ自分の気持ちに素直になり?」

その言葉に自分でも驚くぐらいすっきりと頭のパズルが当てはまった。
そして、胸のモヤモヤも、張り裂けそうな胸の痛みの原因も答えは1つ。

いつの間にかフェイト先輩を『好き』になっていたのだ。

途端に顔から火が出そうなぐらい恥ずかしくなって

「あっう、いや、あの…」

としどろもどろになっていると

「あんまり可愛いなのはちゃんを見てたら、怒られてしまうわ」

そう言いながら頭をポンポンと軽く叩くと、

「時間取らせてごめんな。ありがとう」

と言い、去って行った。
私も小さく

「ありがとうございました」

と後ろ姿に伝えた。



こうなれば一刻も早く気持ちを伝えなくては。
人気のあるフェイト先輩なのだ、いつ好きな人が現れて、恋人が出来るかわからない。

一旦気付いてしまった気持ちに歯止めなんて効かない。
告白をするなら、私たちの出逢いの場所で。
例え届かなくてもいい、今は気持ちをとにかく伝えたい。
はやる気持ちを押さえて、ペンを取ると、

『どうしてもお話したい事があります。
放課後、屋上で待ってます』

そうメモに記すと、靴箱の中に入れた。

放課後、屋上に向かうとフェイト先輩はまだ来て居なかった。
一人、大きく深呼吸をする。

「なのは、お待たせ」

長らく聞いていなかった先輩の声。
『好き』と気付いただけで、こんなにも胸が高鳴るものなのか。

振り向きながら

「来てくれてありがとうございます」
「うん、それで、改まって話って何かな?」
「はい、あ、その前に一方的に来れないって伝えてしまってすみませんでした」

ペコリと頭を下げる。

「それで、ですね、今日来ていただいたのは…」

心臓がバクバクする。
いつもバカにしていた告白をする子達の勇気と度胸に申し訳なさすら感じる。

「どうしたの?大丈夫?」

ふいに手を差しのべられて、ますます顔が赤くなってしまった。

「うん?」

首を傾げるフェイト先輩。

これから告白されるなんて、露ほどにも思ってないんだろうな…。
もう一度、大きく息を吸い込むと、真っ直ぐ前を向いた。

「フェイト・テスタロッサ・ハラオウン先輩。
私はあなたが好きです。
私と付き合って下さい!」

ペコリと頭を下げると、顔を上げる勇気がなくて、そのまま下を向いていた。
フェイト先輩からは、何も反応がない。

ややあって、

「ごめん」

やっぱりダメか。それでも泣くもんかと唇を噛み締めた。

「嬉しすぎて、言葉が出ない」

「へっ?」

顔を上げると、そこにはまさかの泣き顔フェイト先輩。

思わず涙を拭おうと手を出した。
触れていいものか躊躇した瞬間、フェイト先輩に手を取られ、頬へと導かれた。
温かい涙が手のひらを濡らす。

思考回路をフル回転させながら、状況を整理していく。

『私が想いを伝えて、フェイト先輩が嬉しいって返してくれたってことは…』
『いや、でも都合の良いように解釈しているだけかも…』

そんな時、フェイト先輩が口を開いた。

「好き、好きだよ、なのは。
初めて目が合ったあの時からきっと」

私の手に添えられた手に力が入るのが分かる。

「私も高町なのはさんが、好きです。
私とお付き合いしてくれますか?」

あの時、胸が張り裂けそうに嫉妬したあの時。自分ではない人に向けられていると思っていたあの笑顔。
それが目の前にあった。

「はい、勿論です…」

自分の頬にも温かい涙が伝うのを感じた。



少し落ち着いて、今は高台の上。
隣同士、いつもより距離は近い。
重なり合う手。

「まさか、告白が上手くいくと思わなかったな」

小さく呟く。
すると、

「それは、こっちのセリフ。
なのはは最初、私のこと嫌いだったでしょう?最近も避けられてたし…」
「それは違…」
「わないよね。きっかけは分からなかったけど、きっともっと嫌われてしまったんだと思って。」
「そんなことない!そんなことないです!」

必死に首を横に振った。

「大丈夫、分かってるよ」
「私、八神先輩とお付き合されてるんだと思ってたんです」
「はやてと?
うーん、確かに相談にのってもらったりはしてたけど…
良い友達って感じだよ。
それよりどうしてはやてを知ってるの?」
「実は…」

これまでの経緯を説明した。

「なるぼど、後がちょっと怖いかも」

苦笑いを浮かべる先輩。

「涼しくなってきたね。そろそろ帰ろうか」

先輩は立ち上がると「んっ」と手を差し出してくれた。
それを掴かんで立ち上がると、スカートに着いた埃を払う。

『一緒に帰りたいな。誘ってもいいかな』

意を決して

「あの、フェイト先…」

ううん、違う。

「フェイトちゃん、一緒に帰ってもいい?」

『いきなり過ぎたかな?』
恐る恐る顔色を伺う

するとそこには顔を真っ赤にした先輩がいた。

「ご、ごめんなさい!急に『ちゃん』付けなんてして!」

慌てる私に向かって

「もう一度、呼んで?」

「フェイトちゃん…」
「うん、なのは」
「…っ、フェイトちゃん!」
「うん!」

何度か呼び合ううちに、どちらともなく見つめあって。
唇を合わせた。

真っ赤な私を見て、

「可愛いよ、なのは」

頬にも軽く口づけされた。
その瞬間、急に恥ずかしくなってしまって

「調子に乗らないでください!フェイト先輩のバカ!」
「え~、なんで?バカってひどいよ~。呼び方も戻ってるし~」
「知りません!行きますよ!」
「なのはぁ~」

情けない声が屋上に響いた。



「ふっふっふっ、フェイトちゃんに貸し1つや」

後日、不敵な笑いの主に
二人して根掘り葉掘り聞かれたのはまた別のお話。

fin

テーマ : 二次創作小説(版権もの
ジャンル : アニメ・コミック

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プロフィール

秋水

Author:秋水
秋水と書いて「あきみ」と読みます

リリなのシリーズは「無印」からリアルタイムで追いかけています
なのフェイなの
大好きです(*^ ^*)

しかし書き始めると、難しいものですね(^-^;
日々、精進です!
よろしければお付き合いください♪

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ここで掲載している二次創作は、企業・団体・オリジナルの作品とは一切関係がありません
また、当サイトの無断転載・複製・加工等は一切禁止します
あとは、ネットマナーの範囲内でお楽しみいただければ幸いです

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